てぃーろーどの公共交通雑記

鉄道・バスを中心に公共交通なんでも扱う予定です。

びゅうプラザ全店舗閉鎖と今後のJR東日本を考える(4終)

2015年、JR東日本はびゅうブランドのダイナミックレールパックを立ち上げました。

航空会社やネット系旅行代理店のツアーでは既に一般的となっていましたが、往復の交通と宿を自由自在に組み合わせる新しい形のパック旅行です。

需要予測や残席数に応じて、便ごとに価格が異なりツアー代金が随時変動する形態となります。
一般的に言えば平日朝の大都市圏から地方へ向かう便、夜の地方から大都市圏へ向かう便はビジネス需要が多く見込まれます。
週末はビジネスに代わって観光客、金曜の夜や土曜の朝、日曜の夜は特に需要が高くなります。

もちろん既存のパック旅行もパンフレットではこうした需要予測を立てていましたが、気候条件やイベントの開催等で需要が変動するところまでは追えません。

需要が高く見込める場合、交通機関や宿泊施設は料金を高く設定して定価に近付けようとしますし、需要が落ちた場合にはバーゲンで集客をしようとします。

これを鉄道のツアーへ持ち込んだのはJR東日本が初めてではないかと思います。
人気の高いはやぶさと比較的空いているやまびこを上手く差別化出来る、ダイナミックレールパックでは、首都圏〜仙台の代金でも1人あたり数千円変わっていきます。
早朝や深夜の列車ははやぶさでも比較的安価な料金で選べるなど、ツアーの代金はホテルの代金を合わせると千差万別です。

ダイナミックレールパックはネットで予約が完結、指定席券売機で受け取れる形式となっています。
磁気券が必要となる鉄道ではやむを得ないのですが、既存のびゅう商品より利便性が大きく向上しました。

ダイナミックレールパックの導入以後、えきねっとトクだ値やスーパーモバトクにも変化があります。
割引率を50%と高めたお先にトクだ値スペシャル、スーパーモバトクを期間や区間限定ながら始まりました。
2019年では首都圏〜上毛高原、首都圏〜新潟、首都圏〜新函館北斗新青森等、幅広く実施されています。

2019年度末、モバイルSuica特急券が廃止となり、SuicaPASMO等の全国交通系ICを登録した上で、新幹線へチケットレス乗車が可能になる、新たなサービスが始まる予定です。
これはJR東海で既にスマートEX予約の名で始まっていますが、モバイルSuica特急券を引き継ぐ以上は割引率が高い物も設定されそうです。
同時期にえきねっとも大幅なリニューアルを遂げて、ネット予約の増強を行うようです。

長々と書き続けましたが、今後のJR東日本の方向性は航空機や高速バスに対抗するべく、新幹線を中心に変動価格制を導入するのではないでしょうか。
もちろん普通運賃や通常の特急料金は維持されると思いますが、鉄道利用者も頭打ちとなる将来へ向けて収益の最大化を図るイールドマネジメントは欠かせません。

ダイナミックレールパックとえきねっと、新幹線チケットレスサービスの三本柱でネット予約主体に移行、これに対応出来ない実店舗型のびゅうプラザが閉鎖となるのはやむを得ないと思われます。

2031年度には北海道新幹線の延伸、東京〜札幌の所要時間は4時間半〜5時間と想定されています。
単純に考えれば航空機に対抗できませんが、早期購入割引や直前割引、東北〜北海道における特別割引等を行えば新幹線も十分な利用者が見込めると思います。
しかしこれらを成功させるには、まず自前の新幹線で実績を積み上げる必要があります。
このための施策がびゅうプラザ全店舗閉鎖、ネット予約への移行と考えています。