てぃーろーどの公共交通雑記

鉄道・バスを中心に公共交通なんでも扱う予定です。

JR北海道、自立経営の確立へ向けて

本日、国土交通省より「JR北海道の経営改善について」と「監督命令書」が公表されました。

JR北海道の経営改善について
http://www.mlit.go.jp/report/press/tetsudo05_hh_000085.html

【別添1】JR北海道の経営改善について
http://www.mlit.go.jp/common/001247327.pdf

【別添2】監督命令書
http://www.mlit.go.jp/common/001247326.pdf

おおよそ前日から報道していた通りの内容ですが、自立経営の確立が一つのゴールとなるようです。
現在JR北海道は国が全ての株式を持つ実質の国有企業ですが、国鉄改革の目標は株式上場し完全民営化を達成することとなっています。

株式上場するためには、まず公的支援を受けずに企業グループ全体で収支均衡が出来るかが課題となります。
すなわち自立経営を確立させる事は、国からの支援を得ない前提で収支均衡を達成させる事になります。

自立経営のスタートが、北海道新幹線の札幌延伸開業となる2031年度です。
この年からは、JR北海道の持つ鉄道事業・関連事業全て、経営安定基金の運用益のみで収支均衡とする計画が、今回の「JR北海道 経営改善について」となります。

なぜ監督命令が出されたのか、考えていきたいと思いますが、こちらは長い話になります。

JR北海道は設立以来、国鉄債務から拠出された経営安定基金(6822億円)を持ち、これを元手に資産運用することで収支均衡が出来るよう設計されました。

それでも厳しい経営のため2011年に国から、
・実質的な基金の上積み(2200億円)
・2020年度まで10年間で助成金300億円・無利子貸与300億円
が実施されました。

さらに2016年からは「安全投資と修繕に関する5年間の計画」に基づいて、
・300億円の助成金
・900億円の無利子貸与
が追加支援として実行されました。

安全投資と修繕に関する5年間の計画(平成27年3月20日報道発表資料) 【PDF/1,503KB】
https://www.jrhokkaido.co.jp/press/2015/150508-1.pdf

度重なる支援を受けながらも、さらに厳しい経営状況に陥っている状況です。

しかしこれまでは安全確保や幹線輸送への投資(特急や札幌圏の新車導入・新型保安装置の導入・PC枕木化等)に用いられて、JR北海道の経営や企業価値向上においても極めて重要なものでした。

単独維持困難線区となると国の支援により、JR北海道の経営や企業価値に寄与するのかどうかの見極めが必要となってきます。
また以前には助成を得ながらも、保線データの改ざんや重大インシデントで、安全確保を怠った事例もありました。

そのために支援を出しつつも監督命令を出して、国が経営を監視する体制になったと考えられます。

報道各社のニュースを見ていきましたが、突っ込んだ内容はあまり見受けられませんでした。
個人的に気になった点を今回書き出してみたものです。